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MLFの一般利用課題申請書の書き方講座

【注意】
  • J-PARC MLFの利用課題申請には様々な種類がありますが、ここでは一般利用課題(短期、1年)の申請書(成果公開利用)についてのみ記述しています。他の種類の課題申請については、装置担当者に直接コンタクトするか、あるいはJ-JOINにご相談ください。
  • 課題申請書の作成には、その課題に応じた最新のテンプレートを使用してください。
  • 中性子一般利用課題は「学術利用」と「産業利用」に分かれています。「学術利用」の申請課題は外国人を含めた委員により審査されるため、英語で記述する必要があります。一方「産業利用」は日本語での申請も受け付けますが、申請者が産業界の所属であることが条件となっています。(ミュオンには「産業利用」のカテゴリーはありません。)
  • 課題公募に関する詳細は、以下のサイトをご覧ください。
  • https://mlfinfo.jp/ja/user/proposals/

1. 申請書を書く前に十分な計画を立てる

「Research plan」は課題申請書の中で最も重要な部分です。申請〆切が近づいてから慌てて書き始めるのではなく、十分に時間を使って計画を立て、研究協力者や装置担当者のフィードバックを受けて仕上げましょう。申請の採択率は装置によって違いますが、原則として全ての装置が世界中から申請を受け付けており、場合によっては競争率が数十倍に達することもあります。この競争の中からビームタイムを勝ち取るためには、実験の目的を明確化し、その実験によって良い成果が出ることを査読者と審査委員会に納得させる必要があります。

2. 申請書の内容

1) 基本情報

実験課題名は、「学術利用」の場合は英語で書いてください。「産業利用」の場合は日本語でも結構です。「KEKからの支援希望の有無」の項目は、中性子のKEK-BLの学術利用とミュオン実験の場合のみ必要です。

2) 共同実験者

大学院生が申請する場合は、共同実験者に指導教員(AS: Academic Supervisor)と実験立会者(ES: Experiment Supervisor)を記載してください。(ASとESは同一でも可です。)

3) Research plan

i) Background of you research project for the proposed experiment
関連する研究のこれまでの成果と進展の状況をまとめ、今回の実験で何をどこまで明らかにするかを記述します。また、この課題の科学的・産業的観点からの重要性や社会的インパクト、教育上の重要性などについて述べることも必要です。

ii) Purpose(s) of this proposed experiment
予備実験の結果などを示しながら、MLFの装置を使った中性子/ミュオン実験によって何を明らかにしようとしているのか、明確に記述してください。またなぜその装置で実験するのか、知りたい情報がその装置で得られるかなど、必要性と実現可能性を示すことも重要です。1つの課題で複数の装置を利用したい場合でも、装置ごとに独立した申請書を提出する必要があります。その場合は「[3] Relation of other proposal(s) to this proposal」に関連する申請書との関係を書いてください。

iii) Experimental and data analysis method
実験条件や試料の数、結晶の空間群や格子定数など、ビームタイムを見積もるために必要な情報を記述してください。複数の試料を測定する場合は、その理由と必要性を書いてください。また、不採択や予備採択だった課題の再申請の場合には、前回の結果を踏まえてどこを修正したか書かなければなりません。さらに、申請内容について議論した装置担当者の名前を明示してください。(相談していないにも関わらず名前を書くことは認められていません。)

iv) Beamtime request and justification
 予定されている加速器出力や試料の量、散乱断面積等の情報から1測定あたりに必要な測定時間を見積もり、実験条件と試料の数を合わせて必要な日数を算出します。その場合、アラインメントや試料交換、温度変化によるロスタイムや標準試料の測定時間も考慮に入れてください。また、測定したい実験条件が装置の標準的な試料環境装置で実現できるか、装置情報のページ(https://mlfinfo.jp/ja/blmap.html)で確認してください。更にマグネットや電気炉など特殊な試料環境を使う場合や、装置を持ち込んで実験したい場合には、装置担当者に必ず確認してください。

以上の申請書をまとめるためには、装置担当者との事前の綿密な打ち合わせが必須です。締め切り間際になると装置担当者も多くの申請者の対応を強いられることになりますので、時間的に十分な余裕を持って相談してください。なお、「3) Research plan」はA4サイズで4-4.5ページ以内に書くことになっています。この制限が守られていない申請書は受理されません。

3. 課題の審査

申請課題は受け付け後に専門別分科会の委員が内容をチェックして、中性子は3名、ミュオンは4名の査読者に審査を依頼します。5点満点で付けられたスコアは集計され、専門別分科会で全課題について全ての査読結果を確認し、査読者の誤解があった場合はスコアの修正が行われます。分科会でのスコアが付いた課題はビームラインごとに集計し、装置担当者がその装置で一般課題に配分可能な日数を考慮して採択案を作成します。その結果を中性子/ミュオン課題審査部会で審議して、採択(Approved)、予備採択(Reserved)、不採択(Not Approved)が内定します。申請者はこの時点で申請課題の内定通知を受け取って、採択の場合には装置担当者からのビームタイム調整の連絡を待つことになります。なお、審査結果の正式な通知には、各ビームラインの全申請課題の中における順位の目安と、査読者からのコメントが添付されますので、次回以降の申請の参考にしてください。

4. 全体を通して

査読者と分科会委員の多くは中性子・ミュオンとその分野の専門家ではありますが、全ての課題の詳細に通じているわけではないので、やや専門から外れた人にも分かりやすい文章を書くよう心がけてください。また、測定できるQ, Eの範囲や分解能、試料環境などの関係で、その装置では測定不可能な申請書が採択されることはありません。したがって事前に装置担当者と十分に議論して、その装置で目的とする結果が得られることを確認した上で申請書を作成することが、最も重要です。