ガス安全
高圧ガス
1MPa以上の高圧ガスに圧力を上げてのガスの使用、又は1MPa以上の高圧ガスを高圧ガスの状態で使用
高圧ガス保安法の適用を受けて、茨城県の許可が必要になります。 現在、MLFでは、BL21の「J-PARC高強度全散乱装置用水素吸蔵放出測定装置」が許可されていますが、他では使用できません。 あらかじめ装置責任者にご相談ください。
高圧ボンベガスの減圧使用
1MPa以上の高圧ガスのボンベを1MPa未満に減圧して使用することは「高圧ガスの消費」となり、上記の場合に該当せず、MLFでもこの形でよく使用されています。以下に諸注意を記します。
(1)特定高圧ガスを消費する場合:
都道府県知事への届出、取扱主任者の選任を行い、従業者への保安教育の実施、技術上 の基準の遵守・維持、定期自主検査の実施・記録などを行わなければいけません。また、以下の基本事項を遵守してください。(高圧ガス保安法第24条の二~四、一般高圧ガス保安規則第53条~58条参照)
(2)特定高圧ガス以外省令で定められるその他高圧ガス(可燃性ガス、毒性ガス、酸素及び空気)を消費する場合:
技術上の基準の遵守・維持を行わなければいけません。また、以下の基本事項を遵守してください。(高圧ガス保安法第24条の五、一般高圧ガス保安規則第59条~60条参照)
(3)上記以外の高圧ガスを消費する場合:
上述の技術上の基準を参考に、基本的な取り扱いについて以下の基本事項を遵守してください。
基本事項
①ボンベの保管
- 所定の保管場所に縦置きで固定器具を利用して保管すること。
- 可燃性ガスと酸素のボンベを同じ場所に置かないこと。
- やむを得ず横置きにする場合は必ず転がり防止をすること。
- アセチレンボンベは横置きにしないこと。
- 容器弁を確実に閉め、保護キャップを装着すること。
- チェーン等によって転倒を防止すること。(可燃性ガスではシリンダーキャビネットの使用を推奨)
- 火災防止のため、付近では火気、熱源を使用しないこと。
- 可燃性ガス容器付近では、他の電気機器、配線、アース線等の使用を避けること。
- 圧力上昇を防止するため、直射日光をあてないこと。
- 多湿、塩害を防止して容器を腐食させないこと。腐食した容器は使用しないこと。
- 油脂類で容器を汚さないこと。
- 所定の表示票に必要事項を記載して管理すること。
- 空になったボンベ、使用予定の無くなったボンベ、使用期限を経過したボンベは速やかに返品すること。
②ボンベの使用
- 弁の開閉は静かに行い、使用後は確実に閉めること。
- 窒息の危険を回避するため、換気に十分注意すること。
- 使用後は保管場所に戻すこと。
- ガスの種類に応じた専用の付属品を使用すること。
- 可燃性ガス、酸素ガスの周囲で火気、可燃物がないこと。(一般高圧ガス保安規則第60条参照のこと)
- ガスの‘性状、‘性質、特徴等を十分に理解して使用すること。
- 異常を感じたら使用を中止して、直ちに納入業者に連絡すること。
③液化ガスの取扱い
- 以下の事項に注意すること。
- 液体の気化にともなう圧力上昇
- 水分等の凍結によるブロック(閉塞)
- 空気中酸素の凝縮による酸素濃度の上昇
- 凍結、凍傷
- 酸素欠乏、低温ガスの吸入障害
- 加圧して使用する低温容器には圧力計、液面計、安全弁等専用の計器をつけ、定期的に正常であることを確認すること。 ・皮手袋等の保護具を使用すること。
- 他のボンベ同様に、低温容器は静かに丁寧に扱い、日光の直射しない風通しの良い水平な場所に置くこと。 ・低温容器の運搬には転倒、衝撃などないよう十分注意すること。
④異常時の対応
異常時の際はMLF異常時連絡体制表に従って直ちに連絡し、各設備の担当者の指示に従うこと。
災害時は各設備の担当者の指示に従うこと。
例えば、
(a)ガスが漏洩した場合は、
- ガスの使用を止め、容器バルブを閉めること。
- 扉や窓等を開けて、十分な換気を行うこと。
- 実験装置責任者、シフトリーダーに連絡すること。
(b)バルブが損傷した場合は、
- ガスの使用を止め、実験装置責任者、シフトリーダーに連絡すること。
(c)ガスに引火した場合は、
- 消防に通報すること。MLF異常時連絡体制表に従って直ちに連絡すること。
- ガスの供給の遮断や容器バルブの閉止、初期消火に可能な限り努めること。
(d)周囲で火災が発生した場合は、
- 消防に通報すること。MLF異常時連絡体制表に従って直ちに連絡すること。
- 初期消火に可能な限り努めるとともに、容器が加熱されないように現場から移動させること。
(e)容器の喪失・盗難の場合は、
- 警察署に盗難届けを提出すること。MLF異常時連絡体制表に従って直ちに連絡すること。
作業過程で生じる高圧ガス発生に対する注意
もともとは高圧ガスではなくても、以下のように、作業過程で高圧ガスが発生し、爆発等の危険が生じる可能性がありますので、予めこれを回避する措置をとって下さい。
- 低温実験における液体閉じ込めと昇温過程における高圧ガスの発生
- ガスフロー実験における排気口遮断により生じる高圧ガスの発生(耐圧構造をもたない配管の場合)
可燃性、毒性ガス
漏らさない対策
- 気密・耐圧検査、Heリーク検査
- 溶接構造
- 多重構造
- 点検(事前、実験中)等
漏れた場合の対策
- 漏洩検知器
- インターロック(漏洩検知器に連動)(拡大防止)
- 防爆対策(電気機器、静電防止シート、静電防止作業着・靴)
- 防毒保護具
廃棄
許容濃度以下で安全な排気ができるようにする。(例えば、可燃性ガスの場合は爆発下限界以下、毒性ガスの場合は許容濃度(じょ限量)以下、等)
その他
実験上問題がなければ、許容濃度以下で使用することでリスクを下げることができます。
放射化する可能性のあるガス
Xeや3He, Ar等、中性子ビームの照射により放射化する可能性のあるガスについては、これに中性子ビームを照射する実験をする場合、放射化ガスが外部に拡散しない措置がとられているかをMLF施設側で確認いたします。
持ち込む場合
使用希望のガスがMLF施設内にない等の理由で、利用者がガスを持ち込む場合は、利用者支援システム(https://jus.j-parc.jp/portal/top)から実験機器持ち込み・使用届をご提出下さい。まだ、ガスを試料として持ち込む場合は、試料および薬品等持込申請書をご提出下さい。